(宮古島の夕焼け)
眠れないことを恐れているため、睡眠薬を止められない方がいます。私も眠れないことがあるので、その気持ちは理解できます。しかし、それでも薬は飲まないように心がけています。
前回述べたように、睡眠薬は日中も体内に残存します。たとえ微量でも脳の活動を抑えるため、注意が散漫になり、手術や診療のパフォーマンスが低下する可能性があるのです。
もちろん睡眠不足も問題です。しかし眠れなくても、目を閉じて横になれば、以下の理由により身体を休めることは可能です。
①横になるだけで、内臓の血流は三倍になります。
これにより内臓が休まります。逆に睡眠薬や寝酒は、それを分解する肝臓の負担となるため、内臓の休息効果を弱めます。
②部屋を暗くして目を閉じるだけで脳が休まります。
脳の処理する情報の九割は視覚と言われているため、これが遮断されるだけで脳の負担はかなり減るのです。逆に言えば、眠れないからと言って本を読んだり映画を観たりすれば、休息の効果は失われます。
意識が落ちなくても横になるだけで、睡眠の七割の効果が得られると言われているのは、以上のような理由からです。一方で、お酒や薬を飲んで眠っても、実際にはダメージが翌日まで尾を引くのです。
大事な仕事を控えているとなかなか寝付けません。そのような時は、目を閉じて翌日のイメージトレーニングをしていた方が良いというのが、私の考えです。このイメージトレーニングが功を奏し、救われたことは一度や二度ではありません。