宮古島「こうむら眼科」院長のブログ

こうむら眼科院長、幸村百理男(こうむら もりお)のブログです。ホームページ→https://www.kohmura-ganka.com

睡眠について1

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宮古島の夕焼け。この五分後の映像は次の記事に)

不定愁訴という医学用語があります。例えば眼科に多い不定愁訴の一つに「目を開けてるのが辛い」がありますが、これだけでは痛くて開けられないのか、眩しくて開けられないのか、釈然としません。このような曖昧な訴えを不定愁訴と呼びます。

夕方以降の体調不良を訴える患者さんが時々います。たいていは病院で精密検査をすでに受けていて(症状が強いため、本人は重い病気を想定しているのです)、異常なしの診断を受けています。やはり夕方以降、目を開けてるのが辛いと眼科で相談を受けます。

見逃されがちなのが、睡眠薬の副作用です。多くの睡眠薬の血中半減期血中濃度が半分になる時間)は四時間程度です。その場合、八時間寝ても四分の一がまだ血中に残っています。それから四時間すぎる毎に、八分の一、十六分の一と減っていきますが、このときに薬が抜けていくための症状が起きるのです。睡眠薬は依存性が強く、その離脱症状は決して軽くありません。しかし多くの人はまさか睡眠薬が原因とは考えないため、重い病気を連想し、精密検査を繰り返します。

もちろん、本当にドライアイの可能性もあります。涙は夕方から夜にかけて分泌が減るからです。問診で睡眠薬中毒を強く疑うのは、「睡眠薬を飲んだあとは楽になる」という患者さんの言葉です。

睡眠薬を急に止めるのは危険です。医師と相談しながら、少しずつ減らすか、依存性の低い薬に置き換えていきます)